このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。
1型糖尿病では、免疫の異常によって膵臓のインスリンを出す細胞が壊され、生涯にわたるインスリン注射が必要になります。今回の研究では、患者本人の細胞をいったん「どの細胞にもなれる状態」へ戻し、そこからインスリンを出す細胞の集まり(膵島)を作って、腹部の筋膜の下に移植しました。
移植から75日後、患者はインスリン注射をやめることができ、1年後もその状態が続きました。血糖値が目標範囲内にある時間の割合は、移植前の43%から4か月後には96%へ上がり、その後は98%を超えています。長期的な血糖の指標であるHbA1cも、糖尿病でない人の水準まで下がりました。1年時点で、移植に関わる異常は見つかっていません。
iPS細胞は通常、細胞に数種類の遺伝子を導入して作ります。この研究チームは、遺伝子を入れる代わりに低分子化合物の組み合わせで細胞を初期化する方法を開発し、化学的に誘導した多能性幹細胞(CiPSC)と呼んでいます。本人の細胞から作るため、他人の細胞を使う場合の拒絶反応を避けられると期待されています。膵島を肝臓の血管ではなく腹部の筋膜の下に置いたのは、画像で観察しやすく、必要なら取り出せる場所を選んだためです。
この報告で結果が示された患者の人数
第1相試験の初回報告で、症例報告に近い位置づけです。
血糖が目標範囲内にある時間の割合は、1型糖尿病の治療で重視される指標で、一般に70%以上が目標とされます。98%という数値は、健康な人に近い血糖の推移を意味します。ただし、この結果は1名のものです。また、この患者は以前に肝移植を受けていて免疫抑制剤を使っていたと報じられています。1型糖尿病の本質である「自分の免疫が膵島を攻撃する」問題を、この治療が解決できるかどうかは、免疫抑制剤を使っていない患者での結果を待つ必要があります。
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