このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。
目の表面を覆う角膜は、縁(輪部)にある幹細胞が絶えず新しい細胞を送り出すことで透明さを保っています。この幹細胞が病気やけがで失われると、角膜は濁り、視力が大きく落ちます。角膜輪部幹細胞疲弊症と呼ばれるこの状態は、治療が難しい病気の一つです。
大阪大学の研究チームは、他人のiPS細胞から角膜上皮の細胞を作り、薄いシートにして患者の目に移植しました。参加したのは、原因の異なる4名の患者です。2名には低用量の免疫抑制剤を使い、残る2名には使いませんでした。移植後52週と、その後の1年間、有害事象を追跡しています。
52週時点で、4眼すべてにおいて病気の段階が改善し、矯正視力が上がり、角膜の濁りが減りました。2年間の観察で、腫瘍の形成や拒絶反応といった重篤な有害事象は起きていません。
角膜の幹細胞を失った患者では、本人の目から健康な幹細胞を採ることができません。両目が侵されている場合はなおさらです。他人のiPS細胞をもとに角膜上皮を作れば、患者ごとに細胞を採る必要がなく、あらかじめ品質を確かめた細胞を使えます。一方で他人の細胞には拒絶反応の懸念があるため、この試験では免疫抑制剤を使う2名と使わない2名に分けて、安全性を確かめました。
52週時点で矯正視力が改善した眼の数
ただし4名だけで、対照群はありません。改善の大きさには患者による差がありました。
論文は、患者1・2(免疫抑制剤あり)のほうが、患者3・4(免疫抑制剤なし)より良好な結果だったと述べています。免疫抑制剤の有無による違いなのか、原因となった病気の違いなのかは、この人数では判断できません。海外の科学誌の報道では、1名の改善が持続しなかったとも伝えられています。1年を超えた視力の推移は、論文の本文と今後の報告で確認する必要があります。
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