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Regenerative Therapy · 2026年5月 · 実態調査 · 大阪大学

日本で届出された脊髄損傷に対する未承認の再生医療41件の内訳

大阪大学の研究グループが、再生医療等安全性確保法に基づいて届出された、研究目的以外(治療として提供される)の脊髄損傷向け再生医療等提供計画41件を分析した論文を、2026年5月に Regenerative Therapy 誌(日本再生医療学会の英文誌)に発表しました。使われている細胞は脂肪由来が68%、骨髄由来が32%で、投与経路は静脈内が71%、平均価格は14,100米ドルと報告されています。

この記事について

このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。

研究情報

掲載誌
Regenerative Therapy(2026年6月号。オンライン公開は2026年5月25日)
種別
実態調査(届出情報の分析)
著者
Ukon Y ほか(大阪大学大学院医学系研究科ほか)
対象
再生医療等安全性確保法に基づき届出された、脊髄損傷に対する研究目的以外の再生医療等提供計画 41件
細胞の由来
脂肪由来MSC 68%、骨髄由来MSC 32%
投与経路
静脈内 71%、髄腔内 27%
培養期間と細胞数
培養期間は約4週間。最も多い投与細胞数は 1.0×108 個(計画によりばらつきあり)
投与時期
慢性期に限定と明記した計画は3件(7%)。残りは時期の記載なし
価格
平均 14,100 米ドル
利益相反
著者は競合する利益なしと申告

制度の仕組み

日本では2014年に施行された再生医療等安全性確保法により、細胞を用いる医療は、リスクの程度に応じて第一種から第三種に分類され、医療機関は提供前に「再生医療等提供計画」を国に提出することが義務付けられています。培養した自家の体性幹細胞(患者本人の脂肪や骨髄から採取した細胞)を用いる治療は第二種に分類され、認定再生医療等委員会の審査を経て厚生労働大臣に計画を提出します。他人の細胞(他家)を用いる治療は第一種に分類され、最も厳格な手続きが求められる区分になります。

提出された計画の情報は厚生労働省が公開しており、今回の論文はそのうち脊髄損傷を対象とした、研究目的以外の提供計画を集計したものです。この届出は、安全性と手続きの適正を確認するもので、治療の有効性を審査する制度ではありません。

調査の結果

41件の計画のうち、使用する細胞は脂肪由来のMSCが68%、骨髄由来のMSCが32%でした。投与経路は静脈内が71%で最も多く、髄腔内が27%です。培養期間はおおむね4週間で、投与する細胞数として最も多かったのは1.0×108個でしたが、計画によってばらつきがありました。平均価格は14,100米ドルと報告されています。

投与する時期を慢性期に限定すると明記した計画は3件(7%)にとどまり、残りの計画には時期の記載がありませんでした。著者らは、同法の下で行われている臨床研究や承認済みの再生医療等製品が主に亜急性期を対象とし、細胞の種類や投与量、安全性の評価方法を標準化しているのと対比して、治療として提供されている計画の間には大きな不均一性があり、科学的な標準化が限られていると結論しています。

読むときの注意点

  • 届出の件数と内訳を示す調査で、効果や安全性を調べたものではありません。 41件の治療で何が起きたかは、この論文からは分かりません。
  • 自家か他家かの内訳は抄録に明記されていません。 制度上、他家細胞を用いる治療は第一種に分類され、自由診療として提供されている例はほとんどないため、41件の大半は自家細胞と考えられますが、論文本文での確認が必要です。
  • 脊髄損傷に限った調査です。 他の疾患や、加齢に関連する目的での提供計画は含まれていません。
  • 価格は平均値です。 分布や、価格に含まれる範囲(診察、検査、入院など)は抄録に記載がありません。

結果の範囲

この結果が示していること

  • 日本国内で、脊髄損傷に対するMSCの投与(多くは静脈内)が、届出のうえで治療として提供されている実態があること
  • 計画ごとに細胞の種類、投与量、投与時期、価格にばらつきがあること
  • 届出制度は有効性を審査する仕組みではないこと

この結果が示していないこと

  • それらの治療の効果や安全性
  • 他の疾患を対象とした提供計画の状況
  • 他家細胞を用いる治療の国内での提供状況(この調査の対象は主に自家細胞と考えられます)
出典
この記事について

このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。

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